今日は、突然雨が降ってきて、急遽ミーティングをすることになった。私たちは着替えずに、部室の席に座っていた。
「跡部の奴、遅いなぁ。何しとるんや、全く・・・。宍戸、何か知ってる?」
「なんか、生徒会とか言ってたぜ。」
「いつ終わんねん。ってか、これ待っとかなアカンの?もう帰ったら、えぇんちゃうん?別に、話し合うことなんて、あらへんやろ。」
忍足先輩の言う通り、特に話し合うことも無いけれど、勝手に帰るわけにもいかず、私たちはそのまま跡部部長を待った。
「おはよー。跡部、来たー?」
「ジロー、まだ寝てたのかよ・・・。ちなみに、跡部はまだだぜ。」
「そうなの、岳人?あ!ちゃんだ!久しぶり〜。」
そう言って、芥川先輩は私に手を振ったけど・・・・・・・・・・・・・・・久しぶり?今朝も会ったはずなんだけど。
「今朝、会いましたよ?」
「・・・そうだねー。なんか、久しぶりな感じがしたんだけど・・・。」
芥川先輩も、自分で不思議に思ったらしく、首を傾げていた。すると、滝先輩が顎に手を当てて、少し考えながら言った。
「制服・・・だからかな。俺たち3年は、ちゃんの制服姿って、あまり見ないものね。」
私や芥川先輩以外にも、3年生の先輩方は、そうか!と納得した顔になった。
「言われてみれば、そうだなぁ。俺たちも部活には早めに来てるつもりなんだが、既にと若は着替え終わって、もう準備始めてたりするもんな。」
「そうですねー。私も、制服姿の先輩方とこうして話すのは、何だか新鮮です。」
「ちゃん、1回立ってみて!」
私は芥川先輩に言われるがまま、席を立つと、先輩方にジロジロと見られた。・・・その、そんなに見られると、恥ずかしいんですけど。
「なんか、未だに初々しさがあって、カワイらしいなぁ。」
「あの・・・。もう座っていいですか?」
「ちょっと、ちゃん。こっち来て!」
今度は、芥川先輩が私を手招きし、私はまた言われるがままそっちへ向かった。そして、芥川先輩も席を立ち、私の横に並んだ。
「どう?お似合い?・・・制服デート!なんつって。」
「アカンアカン。ちゃん。こっち来てみ?・・・・・・・・・・・・・・・ほら、えぇ感じやろ。」
「えぇ〜。微妙だC〜。じゃ、今度は滝と並んでみてー。」
私は、芥川先輩の言うまま、滝先輩と並んだり、宍戸先輩と並んだり、向日先輩と並んだり・・・。仕舞いには、鳳くんや樺地くんとも並んで、最後にさっきまで座っていた日吉の隣の席に戻った。
「うん。やっぱり、この2人が見慣れてるよね?」
席に座りかけた私を見て、芥川先輩は言った。・・・この2人とは?
「私と・・・日吉が、ですか?」
「まぁ、確かに見慣れてるよな。」
向日先輩も、芥川先輩に賛同し、周りもうんうんと頷いている。・・・私は日吉が好きだから、すごく恥ずかしかったけど、見慣れてるだけであって、お似合いではないんだと言い聞かせて座った。
「同じクラスで、同じ部活ですから、一緒に居ることも多いですしね。」
「はい、今度は2人だよ。立って立って!」
そう言って、芥川先輩は私と日吉を無理矢理、立たせた。隣で日吉が少し、ため息を吐いた気がする・・・いや、気がするんじゃなくて、ため気を吐いた。たぶん、こういうことが面倒なんだと思う。
ゴメンね、日吉。私は先輩方の所為にして、実は日吉と並んでみたいんだ。
「あぁ。やっぱり、自然だねー。」
滝先輩がそう言ってくれたのも、すごく嬉しい。
教室で見慣れているはずの日吉の制服姿だけど、あらためて見ると、やっぱりカッコイイなぁ、なんて思ってしまって、また私は照れてしまった。
今、この顔を見られたらマズイ!って思ってたら、跡部部長が部室に入ってきた。・・・助かりました、跡部部長!と思ったと同時に、私は妙に焦って、座った。そしたら、隣の日吉も急いで座ってた。・・・まぁ、跡部部長に何か言われたら、面倒だもんね。本当ゴメンね、日吉。
「悪かったな、待たせちまって。」
「マジで遅かったし!」
「うるせぇよ、岳人。」
「で、何の話があんだよ?」
悪かったと謝りつつ、向日先輩に文句を言い返す辺り、跡部部長らしいなぁなんて失礼なことを考えていたら、そんなことより、今日の部活は?とでも言いたそうな宍戸先輩の発言も、また宍戸先輩らしいなぁと思った。・・・うん、私も冷静さを取り戻したみたい。よかった。
「あぁ、それだが。話は特に無い。今日はトレーニングをする。お前ら、早く着替えろよ。」
「えぇっ?!そんなん聞いてへんで?」
「当たり前だ。こんなこと言ったら、俺の居ない間に、忍足やジロー辺りがサボんだろーが。」
跡部部長の予想通り、忍足先輩と芥川先輩があ〜ぁ、とため息を吐いていた。逆に、宍戸先輩や日吉は、既に着替え始めようと、ロッカーの近くまで行っていた。さすが!・・・って、その前に私も部室から出ないと!
「では、私は準備してきますっ!」
「あぁ、頼むぜ。」
部室から出る間際、振り返って跡部部長にそう言うと、日吉がネクタイを外している瞬間を見てしまった。・・・ヤバイ。制服に、こんなにスゴイ殺傷能力があったとは・・・。いや、日吉の制服姿に、が正しい表現かもしれない。・・・・・・・・・って、私、なんか変態発言?!あぁ、マズイマズイ。日吉のタイプは清楚な人なのに・・・!(忍足先輩情報)
結局、冷静さなんて取り戻せてなかった私は、トレーニング中も、日吉を直視できないでいた。
・・・そういえば、日吉もちっとも目を合わせてくれなかったけど、どうしてだろう?そんなに怒ってたのかなぁ。それは、ちゃんと謝らないと。
制服っていいですよね!ネクタイっていいですよね!そんな気持ちを素直に書いてしまったお話です(笑)。むしろ、その良さをもっと表現したかったぐらいです・・・!
とは言え、あまりにやりすぎると、それこそ変態チックになるかも知れないので、これぐらいの方が良かったのかもしれませんね(笑)。
あと、この後、ちゃんと謝ることができたのか、といった展開などは皆様のご想像にお任せします!・・・と言いつつ、いずれまた書きたいなぁーと思ったりしております(笑)。
('09/11/17)